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Japan Thru Non-Japanese Eyes

デイビッド・エリス

デイビッド・エリスはアメリカのアトランタ出身、在日7年、東京の大学で英語の教師をしています。来日当初2年は、東京で3つの外人ハウスに住みました。本サイトオーナーの渡辺節子とWeb-Watching the Worldを共著しました。Web-Watching the Worldの自作品のテープの吹き込みも担当しました。

彼のホームページは: http://geocities.com/Athens/Agora/7984/

苦あり楽ありの外人ハウス

 はじめて日本にやってくる外国人にとって、問題なのは住む場所を見つけることだ。アパートはたいてい高いし、保証人や敷金・礼金が必要だし、洗濯機も布団も電話も用意しなければならないのだ。

 そもそも日本にどれくらい滞在するのかもわからないわけだから、外国人労働者は ゲストハウスを選ぶ。悪名高きこの建物は「外人ハウス」とも呼ばれていて、問題も多いのだけど、メリットもある。外人ハウスは、アメリカの"fraternity"に似ている。もし"fraternity"を知らなければ、映画"American House"を見てほしい。男子大学生のギュウギュウ詰めの生活だ。さて、外人ハウスだが、1人4畳半、あるいは2人で6畳くらいの部屋をもらうことになる。それから、布団やストーブ、扇風機もある。共有物もいろいろだ。ラウンジに行けば、テレビ、ソファー、台所、冷蔵庫、電 話がある。また、コインランドリーと乾燥機が置いてあることも多い(「乾かす」と いうよりも「温める」だけなのだが)。シャワーは10分100円だ。 だから部屋には100円玉を常備しなければならない。あと、シャワーはすばやく決めること!でないと、最後に冷たい水でフィニッシュだ。

 外人ハウスには10〜15人が住んでいる。だから、もちろんトラブルが起こる。 まず、シャワーや洗濯機を使うのに並んで待たされることがよくある。苦情が多いの は食事ドロボーだ。仕事から帰ると、誰かが私のチーズを食べたり牛乳を飲んだりしてあって、がっかりする。困った住人は、自分の皿を誰かが洗ってくれると思っている。それで、怒った人が張り紙をする。「ママはここにいないんだよ。自分の皿くら い洗え!」と。

 とりわけ厄介なのは騒音だ。どこの外人ハウスにもホステスとか夜型がいるもので、夜中に帰ってきてからテレビを観たり料理したり。また、ラウンジで深夜のパーティーに興じる連中もいるから、早起きしたいなら耳栓は必需品だ。壁なんて紙みたいなものだから。……と、ここで疑問に思うだろう。こんなに問題だらけで、どうし て外人ハウスに住むのか?って。

 何よりもまず、お金が節約できる。前金はいらないし、布団、ストーブ、扇風機、電話などの日用品を買わなくて済むのだ。それに、外人ハウスなら自由がある。仕事があんまりひどいなら、給料日にさっと荷物をまとめて、帰りの飛行機を見つけてしまえばよい。これがアパートなら、買い込んだ家具に縛られてしまうだろう。もっと重要なのは、はじめての東京暮らしでもすぐに友人ができるから、この巨大で複雑な都市の真ん中でも仲間に助けてもらえることだ。他の国の人と知り合うのもいいだろう。日本の若者(主に女性)には、外国人と仲良くなったり英語を練習したりしたくて外人ハウスに住む人もいる。結局、外人ハウスも一長一短なのである。世界中のおもしろい仲間と楽しいパーティーをすることもあれば、プライバシーが恋しいときや眠れない夜だってある。私は今じゃもう年だから、外人ハウスはちょっと厳しいが、最初の2年間は間違いなくすばらしい異文化体験だった。冒険好きな若い人には、外人ハウスはおすすめだ。


                翻訳:東京大学 小野瀬勇一


翻訳者の感想 :和訳は受験勉強で昔からやらされたけれど、翻訳は最近のことです。一語一句チェックされるのと違って、ちょっと大胆に訳してみました。口調をどうするかなど悩みは多かったけど、楽しかったです。

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