戦争を語り継ごう

西羽 潔

nishiha@rose.sannet.ne.jp

http://www.rose.sannet.ne.jp/nishiha/

1931年9月18日に起こった満州事変を契機に、日本は15年戦争といわれる戦争の時代に突入しました。私が生まれたのは、そのちょうど2年後のその日です。そして、戦争が終わったのは、国民学校(現在の小学校)6年生の時でした。文字どおり戦争の中で生まれ、育ったわけです。ですから物心ついたころから、軍国主義教育の洗礼を受けてきました。「大きくなったら、立派な兵隊さんになって、天皇陛下に命を捧げ、お国のために戦うのだ」といわれて育ちました。

小学校2年生になったとき、それまでの小学校は国民学校と改められました。そしてその年の12月、日本は米英などの連合国との戦争を始めました。そのころから、学校の教育はさらに戦時色を強めました。

学校だけではありません。遊ぶのも戦争ごっこ、歌うのは軍歌、読むのは戦争物の漫画や小説。こうして私たちは、無垢の頭に、全体主義、軍国主義を刷り込まれ、軍国少年となっていきました。今でいうマインドコントロールです。天皇は現人神(あらひとがみ)、そして日本はその天皇を中心とする神の国、「神州不滅」、かつて他国に侵されたことがない、例え戦が不利になっても、神風が吹く、そしてぜったいに降伏はしない、「一億玉砕」、最後の一人になっても戦う、等々を信じ込まされていました。ですから、日本が無条件降伏をしたと分かった時は、頭の中が真っ白になりました。まったく信じられないことが起こったからです。

そしてそれ以降、教育も180度変わりました。それまで、軍国主義を唱えていた先生たちが、民主主義を説き始めました。竹やり訓練をしていた校庭では、野球が始まりました。そして軍国少年だった私たちは、野球少年に変身していきました。あれから半世紀余り、日本は、平和と民主主義の下、高度成長をなしとげ、経済的には世界でも有数の豊かな国になりました。しかし、この急速な経済発展は、環境問題、赤字財政、高齢化・少子化などの、後遺症を残し、政治はそれに対し明確なビジョンを示せない状況にあります。

そうした未来の展望が開けない閉塞状況の中で、「日本は神の国」とか「日の丸、君が代を敬わないのは非国民」など、かつて聞いたような声がまたもや聞こえてくるようになりました。私には、昔の悪夢の再来のように聞こえます。あのような戦争を二度と起こしてはならない。それには、あの戦争がどのようにして起こったのか、そしてその戦争の悲惨さ、ファッシズムの恐ろしさを、語り伝えていく必要がある。それが戦争を体験した世代の責任であると、私は思います。

そのような考えの方もやはり多いとみえて、インターネットには、戦争の体験記や記録が数多く蓄積されています。そこで、そうしたホームページがよりいっそう利用されるよう、リンク集を作ろうと思い立ちました。

いろいろなホームページを調べていますと、文章を書かれた方々の、ふたたび戦争を起こさないために、何とか自分たちの体験を後世に伝えようとする、熱い思いが伝わってきました。中にはもうお亡くなりになった方も少なくありませんが、お子さんやお孫さんが、その遺志を受け継いで、ホームページにアップされています。

そうした皆さんの思いを結集して、「戦争を語り継ごう ―リンク集―」というホームページをまとめてみました。戦争の世紀といわれた20世紀も終わろうとしています。新しい21世紀が平和の世紀でありますよう、とくに新世紀の日本を担う若い世代の皆さんにご利用を願うものです。

「戦争を語り継ごう ―リンク集―」
http://www.rose.sannet.ne.jp/nishiha/senso/


筆者の紹介:39年間のサラリーマン生活を卒業して今は自由人
趣味は、旅行、パソコン、スポーツ、コントラクトブリッジ