渡辺節子が行く「世界の旅」

コペンハーゲンの流氷

 -旅のおまけ-


見たい所を十分に下調べしてから見聞する旅は、感激ひとしおかもしれない。
でも思いもかけず希有な光景に出遭うのは、もっとうれしい。
3月のコペンハーゲンで流氷を観られたのは、大きな<おまけ>だった。

卒業旅行の学生達
卒業旅行の学生達
(C)2000 Setsuko Watanabe
昔昔、私は、旅のコンダクターをしていた。
その頃の旅は、ホテルは5つ星で、3食つき、毎日びっしり観光日程が詰まっていて、あまり自由に旅を演出できなかった。

そんな時「ホテルも4つ星で申し訳ないが3月に大学生の卒業旅行を率いてくれないか」と拝み倒され、40人近くの大学生をヨーロッパに連れて行った。
ホテルもちょっと街外れで、食事もついていない。
でも一ランク下のホテルは、世界中どこでも同じサービスを売り物にする5つ星ホテルより、はるかに街の雰囲気や温もりがあり、お金のない学生を連れてのバスや地下鉄での見学や安くておいしいレストラン探しは、楽しかった。

人魚姫の像
人魚姫の像
(C)2000 Setsuko Watanabe

帰りの飛行機の乗り継ぎで、コペンハーゲンで2時間強待つことになった。
若者に短い時間内で、街を少しでも安くみせてあげたくて、電話張を調べ、バス会社に何軒か電話して、一番安いバスを注文したら、すぐにやってきた。外国人を乗せたことがないらしく、言葉がよく通じず、デンマークの誇る詩人ハンス・クリスチャン・アンデルセンの住んでいた運河沿いの家と頼んでも通じない。英語読みでアンダーソンと発音してもだめだった。A little mermaid(人魚姫)の作者と言ったら、「おお!アナセンか?」とやっと理解してくれた。

海辺に人魚姫の像を見に行って仰天した。いつもと全く違う光景だ。水ではなく、白くひび割れた雪と氷のあいの子みたいなのが、一面海を覆っていた。
それが<流氷>だとは、その時は知らずに、ただもう、はじめてみる白銀の海に圧倒され言葉もなかった。
デンマーク語でも英語でも、流氷という特別な単語はないらしい。
でも、何年かに一度、人形姫のいる海辺に流氷がくるのは確かだ。
写真が残っていないのが残念だ。

アンデルセンの家
アンデルセンの家
(C)2000 Setsuko Watanabe

ご一緒した学生さん達は、とっくにパパ、ママになっているでしょうね。
皆さんに頂いたドナルドダックが蓋についたクリスタルのボンボン入れと、素敵な言葉の一杯詰まった寄せ書きのカードを今でも大切にしていますよ。


リンク集
「人魚姫」
「アンデルセンの住んだ運河沿いニューハウン」
「デンマークの公式ページ」
「コペンハーゲンの地図」

Copyright2000 Setsuko Watanabe


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