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ハイタトラの山と人

村上洋平（練馬区）
写真提供：渡辺節子

晴れた休日の朝、ザックを肩におなじみの高原電車に乗り込む。ハイタトラ山脈の裾野を巻くようにゆっくり走る電車が無人駅につくたびに大勢の登山客や家族連れのハイカーが乗り込んでくる。
車窓からの朝日に映えるタトラ山脈が美しい限りだ。子供の笑い声などで急に車内が明るく賑やかになって楽しいそうだ。やがて山裾の駅に停車するたびに思い思いの山や湖を目指して下車していく。

秋の野花が咲いている小川沿いの道をゆっくり歩く、幼児まで連れた家族が楽しそうに語り合いながら歩いているのを見ると私まで楽しくなってくる。
それにしもこちらの人は歩くのが本当に好きなようだ。

歩いたいくつかのトレッキングコースの印象ではコースも案内指導標はよく整備されていて歩きやすかったし、山小屋も清潔な感じで食事も安くおいしかった。

中欧のスイスアルプスといわれるだけあって、１，５００から２，６５０Ｍの魅力ある花崗岩の山が連なり、ハイキングからロッククライミングまで４５コースものコースがあるのでロングステイしても充分楽しめるところだ。、スキーシーズンにはすばらしいゲレンデになりロングダウンヒル滑降ができるのでスキーヤーで賑やかになるようだ。

現地勤め人ての月収は約１０万円とのことでけっして生活は豊かとはいえないが、きれい好きで家も庭も手入れが行き届いているし、道路にはゴミもない。学校や家庭訪問をした印象では人情は厚く素朴で遠来の我々を心から歓待してくれた。小学校ではお互いにお国自慢料理を作り会食、食後は子供と遊び、お手玉、コマ回し、竹とんぼ飛ばしが好評だった。
意外だったのは若い両親が粘土人形づくりに夢中だったことだ。ミニ文化交流ができたことは嬉しかった。

家庭訪問した女教師のすてきな家も家具も手作りに近い感じで、ご主人が現在増築中の部屋まで見せてくれた。孫娘と親子三代仲睦まじく暮らしているさまが見ていても微笑ましい。
ご馳走になったおいしいスロバキア料理もデザートもすべて陽気なおばあちゃんの手料理で、言葉はあまり通じないが身振り手振りの歓談で盛り上がり、お互いの心は充分通じ合ったのではないかと思った。

ただ、２年前の秋に時速１５０キロという信じられない暴風に襲われて山麓の美林がかなりなぎ倒されて悲惨な状況であり、旅仲間と心ばかりのカンパと植樹してきました。

豊かな自然に恵まれた山岳リゾート地で好きな山歩きをし、ゆったり過ごせた毎日はとても幸せでだった。ただ、ホテルサービスはあまりよくなく、スーパーの品も不足気味で今後解決すべき課題のようだ。

終わりに元社会主義国特有のあまり融通のきかない現地での通訳やさまざな困難な交渉をしていただいたリーダーに感謝をいたしたい。

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