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雪のニューヨーク

写真・文：橋口トモヱ　　

雪のニューヨーク滞在が始まったのは3日目の夜ジャズクラブを出た直後からでした。吹雪模様の中を地下鉄へと急ぎながらも“雪のニューヨーク“というワクワクした気分がおそってくるのも面白いと思いました。最も午前中フェリーでＮＹＣの行政区の1つスタテン島に渡る時は既にみぞれ状態で遠くにかすむ自由の女神の幻想的な姿をデッキで眺めたものでした。

翌朝ブロードウェイの中心にあるホテルを出た時は大型除雪車が何台も出て歩道、車道はきれいに除雪された後で巨大ニューヨークの底力を見せ付けられた感じはしましたが、早起きしてきれいな雪景色を見なかったことをちょっぴり悔やみました。この旅で3回も訪れ、メサイア、くるみ割り人形、エレクトラなどを鑑賞したリンカーンセンターにある各建物に囲まれた広場は2日間のうちに一塊の雪もないようにされ、はや乾燥状態でした。以前から訪れたいと思っていた美術館フリック・コレクションの窓から見たセントラルパークの雪景色はまさに一幅の絵、他のコレクションと共に見応え充分の作品になっていました。

地下鉄の切符の買い方や路線が少しずつわかるようになると（地図は手放せませんでしたが）自由歩きも楽しくなりました。自分なりの予定を組んでいたユダヤ博物館、公立図書館、グランド・セントラル駅、クライスラービルなどなど・・訪ねる事が出来ました。時間節約と疲労を少なくし夜のお出かけに備えるためにイエローキャブも数回利用しましたが、聞いていた通り運転手はインド、パキスタン、ミャンマー出身の人達で　中には初めからメーター故障と言い一定の金額を要求してくる人もいましたし領収書は意味をなさない紙切れでした。でも目的地の住所さえしっかりしていればよい事も確認できました。 帰国前日から気温が少し高くなり、コートなしの人達もかなり見かけるようになり、歩道の隅に積まれた雪の山も段々と小さくなっていきました。

一見、混沌、雑多な街に思えるＮＹＣも一本の太い柱の周りを多民族の住人や我々観光客が一体となってその日一日を最大限に活用し生を享受しそれに応えるに充分なものを備えている街かな　とこの街の一端を覗くことが出来ました。まだまだ何度訪れても発見、見所の多いこの街を機会を作って又訪れたいものです。

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