和菓子をテーマとして選んだのは、伝統的で美しく、おいしいところに惹かれたからである。穀物、豆類、果実、山草などの材料を使い、季節感を豊かに盛り込んだ様々な種類がある。千葉県八千代市にある和菓子屋<香梅>を訪問し、職人の方からお話しをお聞きした。 現代は洋菓子に人気があり、和菓子は地味で、年寄り臭いと思われている。弥生時代のやい米(米を焼いたもの)や干しいもが、和菓子の原点と考えられているが、饅頭などは遣随使や遣唐使を通じ、あるいは日本に渡来した人々により中国から伝わった。茶道が盛んになるにつれて和菓子の製造技術が発達し、日本文化と深く関わりながら発展してきた。それまでは上流階級のものであった菓子が江戸時代になると庶民の間にもひろまった。種子島や九州に、オランダ人やポルトガル人が金平糖、カステラ、キャラメル、キャンデイなどを伝えたが、明治時代以降になって洋菓子と称され、和菓子と区別して呼ぶようになった。和菓子職人は非常に研究熱心で、バターやチーズなども取り入れたり、それぞれの時代の好みに合った菓子作りをしている。香梅では、毎朝3時、4時に起きて、1種類につき150個ずつ作っている。お茶席用の伝統的な和菓子や、客の要望に応じた特別なデザインの和菓子をつくることもある。 和菓子職人は、現代の人々の要望に沿うように革新を繰り返しながらも伝統的な和菓子作りに努力している。インタビューを通じ、かれらがいかに和菓子作りに誇りを持っているかを実感した。 |
千葉県八千代市にある和菓子屋 <香梅> 京成線勝田台駅下車、徒歩5分 |
神田外語大学 |