ニュージーランド

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ニュージーランドのウォーク - ミルフォードトラック


1. 初秋の雨のマッキノン峠越え

大自然の中を、リュックを背負い、周囲の景色や、生物を観ながら、何日ものんびり歩き続ける。日暮れには、清潔な山小屋で荷をとき、熱いシャワー、暖かい食事、ゆったりした心地よいベッドで眠る。ニュージーランドには、そんなウオーク(ハイキング用コース)が沢山ある。


ミルフォードウォーク
Copyright1999 Setsuko Watanabe
19世紀に入植したスコットランド人は、未踏の大自然の山湖川に自分の名を付け、高速道路でも通すように、自在に遊歩道を切り開き、山小屋を作った。山頂を極めるのが目的ではなく、自然に浸り、歩く事自体が目的だ。だからウオークは歩きやすく、湖から氷河を通って海に抜けたり、カヌーを使って島巡りのコースまで、様様用意されている。
本格的な登山を期待して行くと、物足りないかもしれない。
私には、快適なベッドと食事とガイド付きで、何日も大自然の奥深くに抱かれるウオークは、日本では得難い贅沢な癒しの旅だ。


ミルフォードの地図

世界で一番素敵なウオーク(the finest walk in the world)と言われる世界遺産フィヨルドランド国立公園の3泊4日のミルフォードトラック55kmは、ニュージーランドのクラシック・ウオーク・ベスト9にも入っている。
百年前、世界で一早く「全食・宿泊施設・ガイド付きウオークのパック旅行」を実現したウオークだ。設備がよいので、訪問者が多すぎ、環境破壊が進んでいるのが欠点だ。

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山頂
マッキノン峠 頂上
Copyright1999 Setsuko Watanabe

前回訪れたのは、4年前の初秋3月末、花は、枯れてドライフラワーになっていた。ハイライトのマッキノン峠(1154m)越えの日は、大暴風雨で、頂上では立ってもいられず、一寸先も見えず、靴の中までびしょびしょ。寒さで凍えそう。下りはまるで体が流木になって、渓流を流されているようだった。

サザーランドの滝
サザーランドの滝
Copyright1999 Setsuko Watanabe

山全体が滝になり、川になり、しだやコケや、岩やブナ森が生き生きと息づいていた。大自然が一斉に荘大な交響詩を奏でているようだ。落差500mのサザーランドの滝は、見上げる岸壁全体から無数の滝が落ち、シンフォニーのクライマックスだ。

前日に転んで無様に腫れ上がった左手甲を隠して、高熱と激痛に堪え、重いリュックを背負い、大雨の中を歩いた。同行のニュージーランド人の外科医師が手当してくれた。骨折していたと聞き、仰天した。皆から一番勇敢なウオーカー「bravest walker」と絶賛されたが、一番無知だっただけだ。

Copyright1998 Setsuko Watanabe


~続く~
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