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暖炉に火が燃え、青々とした籾の木の周りにプレゼントが山積みになっている。 窓外は雪。定番のクリスマスカードの風景だ。
でも最初のクリスマス、イエスキリストの誕生は、中東の砂漠の邑ベツレヘムの馬小屋で祝わったのだ。
とにかくクリスマス飾りが質素なのに驚いた。 クリスマスツリーは殆どが人工の模造品。
南島は、ルピナスとエニシダの花盛り。
ミルフォードトラックでは、どの山小屋にもささやかな紙製のツリーとグリーティングがあった。大自然のなかでは、あえて生の木を切ってツリーにはしないのだろう。
クライストチャーチ市内では、バスの運転手席の所に可愛い紙モールの飾りと、手書きのグリーティングが貼ってあった。 北島のオークランドは、まさに真夏の南国だった。 ハイビスカス、ブーゲンビリア、ボトルブラッシュが咲き乱れている。 ホテルのロビーの吹き抜け一面にキラキラした金銀の飾り。その下に真っ赤な人工のツリー。 キャロル隊がやってきてクリスマスキャロルを歌い出した。 一緒に唄ってと誘われて、反響のよい吹き抜けのホテルのロビーで合唱。もろびとこぞりて、清しこの夜、ベツレヘムの小さな町などを唄った。 大勢人が集まってきて拍手してくれたが、彼らは参加しない。 シャイなキウイ(ニュージーランド人の愛称)らしい。
クリスマスは、家庭で静かに食事をして祝うようだ。
大自然の恵みをたっぷり受け、心が充足しているせいか、人口の大半がプロテスタントのためか、物欲や商魂とは縁のなさそうな落ち着いたクリスマス風景だ。
自然の溢れる国だからこそ、こころなく木を切って、クリスマスツリーにしたりはしない。
●リンク集 Copyright1999 Setsuko Watanabe
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