渡辺節子が行く「世界の旅」


南半球のクリスマス ニュージーランド


暖炉に火が燃え、青々とした籾の木の周りにプレゼントが山積みになっている。
窓外は雪。定番のクリスマスカードの風景だ。

でも最初のクリスマス、イエスキリストの誕生は、中東の砂漠の邑ベツレヘムの馬小屋で祝わったのだ。
そして南半球では、クリスマスは真夏に祝う。

クライストチヤーチ空港のxmasツリー
クライストチヤーチ空港のxmasツリー
12月中旬に真夏のニュージーランドへ旅した時の事。
とにかくクリスマス飾りが質素なのに驚いた。 クリスマスツリーは殆どが人工の模造品。

南島は、ルピナスとエニシダの花盛り。
クライストチャーチの空港内は、雪を模した白一色の飾りで、すっきりとクリスマス気分を盛り上げる。
ツリーは自然木でない。
クイーンズタウン郊外のアロータウンでは、旧知の老夫婦宅に招かれたが、手作りの飾りをぶら下げたクリスマスツリーのある居間で、代々伝わった家伝の茶器でお茶とスコーンとクリスマス特製のリッチなフルーツケーキでもてなしてくれた。

ミルフォードトラックでは、どの山小屋にもささやかな紙製のツリーとグリーティングがあった。大自然のなかでは、あえて生の木を切ってツリーにはしないのだろう。

ドライフラワーショップ店内
ドライフラワーショップ店内
クイーンズタウン郊外のドライフラワー店の中はドライフラワーとステッキ飴の飾りつけ。
クライストチャーチ市内では、バスの運転手席の所に可愛い紙モールの飾りと、手書きのグリーティングが貼ってあった。
北島のオークランドは、まさに真夏の南国だった。
ハイビスカス、ブーゲンビリア、ボトルブラッシュが咲き乱れている。
ホテルのロビーの吹き抜け一面にキラキラした金銀の飾り。その下に真っ赤な人工のツリー。
キャロル隊がやってきてクリスマスキャロルを歌い出した。
一緒に唄ってと誘われて、反響のよい吹き抜けのホテルのロビーで合唱。もろびとこぞりて、清しこの夜、ベツレヘムの小さな町などを唄った。
大勢人が集まってきて拍手してくれたが、彼らは参加しない。
シャイなキウイ(ニュージーランド人の愛称)らしい。

ホテルロビーで歌うキャロル隊
ホテルロビーで歌うキャロル隊
ホテルをでると、日本人の強心臓を見込んでか、ダンスグループが待ち受けていて、参加をよびかけられたが、これは辞退した。

クリスマスは、家庭で静かに食事をして祝うようだ。
うきうきした様子も、はでなクリスマスセールもない。
プレゼントを直前に買い漁っている様子もない。
時たまかすかにクリスマスソングが聞こえるだけ。
ただし日本のどの家でも正月に小さな門松を飾るように、どこにも必ず小さなクリスマスグリーティングがあった。

大自然の恵みをたっぷり受け、心が充足しているせいか、人口の大半がプロテスタントのためか、物欲や商魂とは縁のなさそうな落ち着いたクリスマス風景だ。

自然の溢れる国だからこそ、こころなく木を切って、クリスマスツリーにしたりはしない。
本当の意味での自然保護が徹底している。

リンク集
「クリスマスキャロルが聴ける」
「世界のクリスマス」

Copyright1999 Setsuko Watanabe


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