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1. 林檎の花咲くハルダンゲルフィヨルド
5月中旬、林檎の花咲くハルダンゲルフィヨルド(Hardangerfjord)を訪れた。
百万年も前に氷河が谷をうがち、地球の温暖化につれ、氷が溶け、その谷に海水が流れ込んでできたのがフィヨルドである。 辺鄙な上に、季節外れで交通の便が悪く、ベルゲンから、バスとタクシーそれにフェリーを3回乗り継ぎ、一日かかって、深奥のオッダ(Odda)にたどり着いた。
入り組んだ両岸一面に小さく白い林檎の花が霧で霞んでいる。 水面は、フィヨルド独特の冷たいがまろやかな透明感がある。妖精に誘いこまれそうだ。 両岸に迫る峰峰は、雪に覆われ、ところどころ雪溶け水が、滝となって落ちている。 霧がパッと晴れた瞬間の幻想的で幽玄な美しさは、比類がない。 グリーグ(Edvard Grieg)の透明なメロディーが聞こえてきそうだ。彼はここでペールギュントを作曲したと言う。
夢か幻のような自然の中で、人々はいきいきと生活している。
もの静かなノルウェー人の内に秘めた荒々しさ、勇ましさもかいま見た。 次回は、『ベルゲン』です。
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Copyright1998 Setsuko Watanabe
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