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梅という植物の原産地は中国であるというのが一般的な見方で、日本には奈良時代(710〜794)かその少し前に渡来したというのが通説です。梅の伝来は、梅の実から作られる薬が最初だと言われています。その後に梅の木が移植され、日本全土に急速に広まったようです。

梅干しが書物に現れたのは、平安時代(794〜1192)中期です。村上天皇(946〜966)の病気が梅干しにより回復した、と記されています。当時の梅干しは現在のような梅干しではなく、梅の塩漬けだったようです。

鎌倉時代(1192〜1333)では解毒剤として、また室町時代には食欲亢進剤として、梅干しは武士の間で用いられるようになりました。戦国時代(1467〜1580頃)でも、梅干しはまだ食品ではなく薬でした。戦(いくさ)で死にそうになったときに、梅干しを見せて唾液を催させることによって生気をとりもどそうとしたのです。武士にとって戦中の梅干しは、もっとも大切にすべきものでした。

江戸時代(1603〜1867)初期には、家庭で梅干しを漬け始めるようになり、後期には一般家庭の食卓にのぼるようになりました。

明治時代(1867〜1911)に入ってからも、梅干しは身近な保健薬であり、健康食品でした。伝染病が流行したときには大量の梅干しが産地から出荷されました。

このようにして梅干しは古くから日本人の生活と、密接にかかわってきました。現代では多くの日本人が海外旅行に行くようになって、その良さが見直されようになってきました。日本の味がなつかしいときや、体調不良の万能薬として、海外旅行に携帯する人が多いようです。